神はいないのか、盆踊り中か 〜シャー・アラムの教訓〜

美しい。俗称ブルーモスク。正式名称は…長い
アジアローカル旅

I’m lost in Shah Alam…

プトラジャヤでの苦い体験で得た教訓1、知らない国の田舎で行き倒れないためにTouch ’n Go(交通カード)をゲットしたが…この日も3回泣きかけた。

KL郊外、日本人会主催の大規模「盆踊り」で有名なシャー・アラムに行ってきた。この旅の課題でもある「その国の公共交通を知る」実現のために、あえて路線バスで行ってみることに。
LRTクラナ・ジャヤ線で「パサール・セニ」駅に降り、隣接するバスターミナルで750系統のバスに乗る。順調。

専ら観光客は近郊へ行く電車でサクッと行くか、Grab呼んでビュンと行くのがいいのだろうが、海外ではなんか地元の人達が使う路線バス乗ってみたいんだよね。とか、へんなチャレンジ精神は後悔すること必至。だいたい日本だと路線バスまず忌避するので、誰もが知ってる万国共通の常識すらわかっていないクセに。

座席には座れたが、降り間違えたり寝過ごしたりしちゃマズいと緊張して窓の外をガン見。世界中ありがちだが、バス内のアナウンスって聞きづらいんだよね、早口の外国語だし、大きいエンジン音などもあり。走ること3〜40分、有名なブルーモスクがチラチラ見え始める。絶対次のバスターミナルに降りるのを確信していたのだが、ロータリーに入るわけでもなく、みんなゾロゾロ降りるわけでもなく、ホントにサラッと路肩に停まってサッと出ちゃったので見事に降りそびれた!

そしたらもうスピードアップしてどんどんブルーモスクが遠ざかっていくじゃないの!「ヤバい」と次の停留所で飛び降り、徒歩で戻ることに…

要注意のバスセンター。乗り場の分からなさよりもさらに注意が必要な「キャッシュレス社会」

歩行者のためにできていない道

マレーシア郊外は基本、歩く人には厳しい環境。大きい道路などは歩道がちゃんと整備されておらず(なのになぜかしょっちゅう工事している)歩きにくいことこの上ない。どっか渡るにも丁度よく歩行者信号のある交差点も少ないし、サッと飲み物を補充できるファミマなどもない。さらに南国の炎天下…体感、20分くらい歩いてもう何もかもイヤになった(老い)。幸い方向音痴ではないのでなんとかブルーモスクの近くまで戻ってきたが、もはや涼まないと死ぬ状態に。

これは…シアター?それぞれの施設がガバッと広いので、ちょっと涼んで座って一服っていう場所はあんま無い

教訓2、いずれにしろ、予習不足の徒歩はダメ!これ、バスセンターにちゃんと降りたとしても結構歩くことになってた気がするけど…
「あ、あっちに立派なミナレットが見えた!」と言ってもコチラのモスクはとにかく巨大で、入場口も一方向のみだったり、手前に広大な公園や広場があったりして、なんだかんだで凄い歩くことになるのを心に留めておいて頂きたい(誰にだ)。

イベント会場準備中の工事のおじさんにヒーヒー言いながら「正面どっち?コッチ?」とか聞いてようやくたどり着いたのは、「盆踊り」よりおそらくコッチが街のウリ、「スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスク」、通称“ブルーモスク”

その大きさから、すぐに辿り着けるような錯覚を起こすブルーモスク。ここから辿り着くだけでもヘトヘト(加齢)

「ホントにあった!」

デカい。美しい。凝ってる…しかし…それだけ。プトラジャヤのピンクモスクもそんな感想だったな…いや、イスラム建築や厚い信仰心をディスってるわけじゃないよ。俺の感受性の問題だと思うけど、なんか異物すぎて心に距離ができちゃうのな…正直言うと威圧感のある宗教施設が苦手なんだと思う。西欧のカテドラルとかもデカかったり装飾が凄かったりすればするほど目を逸らしちゃうんだけど(あの威張り方…)

…今後の課題だけど、世界の宗教施設をもっと楽しめるように勉強しないと

さ、若干体力も回復したし、さっき見かけたモールでメシでも食って帰ろう(なぜか蘭州ラーメンをチョイス。暑いって言ってるのに)。

公共交通の更なる落とし穴

さっき乗り過ごしたバスセンターに着くことはできたが、田舎あるある、またしても表示が不親切で、どこで待てばいいのか全く不明。
水や簡単な菓子を売っている売店のオバチャンに「KLに帰りたいんだけど、どこで待ってればいいの?(英語)」で聞いたら、はにかんだ笑顔を浮かべて無視。イヤ、教えてちょうだい…水買いますから…
隣で孫に菓子買っていたお爺ちゃんが「あそこの…」と、通り沿いの停留所を手振りで教えてくれた。

そこで単身待つこと30分…何台もバスはロータリーに吸い込まれていくのだが、全然コッチ来ないよ…都心に戻るだけなんだけど、こんなに行く人いないの?その後チラホラ人が集まり出したのでホッとしたものの、さらに30分以上待ち。
よ〜やく来た1台が徐行したものの手を振ってそのまま通過するに至って、隣で待っていたムスリムの女性2人がシビレを切らし「もういい!」とGrabを呼び出し、10分後に去っていった。

シャー・アラムなのに神はいないのか、お休みなのか……

都合1時間半くらい待っただろうか、やっと来たKLに帰るバス。勇んで乗り込みカードをかざすと……まさかの残高不足!!
またしても国際的クレーマーのように「現金で許してよ」交渉に入ったところ、天使再び。さっき売店にいたお爺ちゃんが「俺が払うよ、この外国人すごい待ってたんだから」と言ってくれた。
しかしながら今回の運転手さんはガッチリ硬いプロ。「絶対ダメ」とかなり強い意思表示。さらに「あの角を曲がって通りの反対にあるコンビニでチャージして来なさい」と指示。「え〜…じゃあ、次いつ来るの?KL行き…」と挫けつつも聞けば、「15分後には来るよ」と、全く信用できな情報を言う。
サッサとKLに行きたい乗客の皆様の冷ややかな視線の中トボトボ降りてチャージしに…てか、そんなに強硬なキャッシュレス社会ゆーなら、少なくともこのバスセンターでチャージできる用にしとけよ!と。…思うよね…?

教訓3、Touch ’n Goは残高に注意

田舎のバス停ではニッチもサッチも行かなくなるから…
どういうシステムなのか謎だが、運転手の言った15分後にバスが本当にやって来たので、「もう2度と来るまい」と内心思いながら帰投。
KLに帰ってしまえばもはや報告すべきこともなく…長い1日は終了。

無事KLに帰還。公共交通は郷に従え。チャレンジ精神だけでは克服できない(あたりまえだ)

先達の残してくれている胸踊る旅ブログの半分も役に立たないズンドコ旅行記で本当に面目ないが、野次馬中年ひとり旅、いやあ、実情こんなもんじゃないの?東京なんかにず〜っと居れば…
ホントに知らない所で初体験を繰り返して死にかけたりするのがひとり旅の醍醐味だと思えばこれぞ「経験値」なのだけど、流石に体力の落ちた現在だとキツくて昔ほど笑えない…

必ず克服したるわ公共交通(まず言語だろ)

◉野磁馬