“この世の果て” セブン・シスターズ (Part2) 〜Seven Sisters, reign o’er me!〜

イギリスっぽい、変わりやすい空に乳白色の海。“この世の果て”度が高い
聖地巡礼

前記事でも書いた映画「Quadrophenia ~さらば青春の光~」がキッカケで、どうしても死ぬまでに見ておきたかったSeven Sisters。

いよいよ崖上に突撃。

崖下到達までの道筋は↓
セブン・シスターズ前編

急勾配の坂を登って崖上へ。このテキトーな軽装のせいで後々泣きを見る

そして眼前に広がる、緑と白の見たこともない景色。その遥か向こうにはあのライトハウスが。あれこそ自殺の名所「ビーチー岬灯台」!で、早速…

「本当にあった!」

ズームで寄っているので今ひとつ伝わらないが、遠い!手前の建物が唯一人の匂いのする「バーリング・ギャップ」

それもモチロン凄かったけど、もうひとつ驚いたのがその海の色。
崖のチョーク成分が溶け出して、いわく言いがたい乳白色にのたうっているの。あんなん見たことない。一番近いのは「白骨温泉」か(海じゃない)?

崖のチョークを削りながら砕ける白波。ちょっと見たことがない海

あまりに遠く起伏も凄そうで、この時点で灯台到達は諦めました。

あとはもう、ひたすら羊たちの沈黙を尻目に登り降り。時々崖下を覗き込んでモモの裏側をふにゃふにゃさせたり、いかにも危険そうなアングルの写真を撮ったりしながら、いつまでもたどり着かないナショナル・トラスト管理の「バーリング・ギャップ」を目指して。

一際高い崖上にある、WAR HERO「ウィリアム・チャールズ・キャンベル」の碑。なんでここにあるのかは読み忘れた。これが行程の真ん中辺りか?

…遠いよ!オススメしません、このコース。
かと言って、一旦歩き始めたらココ行く以外回避のタイミング無いんだけどネ。
我々を後方から元気に追い抜いて行った白人トリオは、ゴツいトレッキングシューズにストック的な、凄い山歩きの装備して来ていたので「まあ、そういう所だよな」と。

それなりの装備の女性3人組。キャッキャ言いつつサッサと追い抜いて行った

我々の町歩き的な軽装(しかも水すら少ない)では、ちょっとキツいトレッキングです。親友や恋人でも仲悪くなるレベルなので同行者にも注意。

…いやもう、男女2人連れなのにほとんど会話も無くなり、「誰だよ、こんな計画立てたバカは!」くらいの心理的なすり合いにも疲れた頃、やっとの思いでたどり着きました。
人間の匂いのする「バーリング・ギャップ」に!

泣く寸前でたどり着いた「バーリング・ギャップ」。崖下にも降りられるというが、いろいろな意味で嫌。大雨の次の日とか絶対来たくない

とにかく念願だった“この世の果て”の景色も全て忘れるくらいに過酷な道中、たどり着いたカフェの熱いラテのありがたさと言ったら!
やっと人心地がつき、水も買ったしさあ帰ろうとなったんだけど…「こんなに歩いちゃって今度はどうやって帰るんだ?」という問題が発生。

随分と近くはなったライトハウスだが、この数100メートルを歩くのも嫌なほど過酷

まあ、目の前の広い舗装道路を歩いて行けばどっかにバス停があるのは間違いないだろう。体もあったまったし、とにかく出発(やっちゃダメ)!

のんびりと草を食む羊さんたちにも八つ当たりしたくなる道中

…これ、数多ある旅行記ブログの先輩たちならどう案内するのか不明ですが、無いよ?行けども行けどもバス停が。
重要なポイント「ビーチー岬灯台」をずっと横目に見ているんだけど、もうどうでもいい。疲れて。
やたら放牧されている羊にさえイライラする。本当に「イースト・ディーン・ロード」に出るまで、バス停無しでした。なんか途中1箇所、人の生活の匂いがする地区を通ったけど、無かったもん。

バス停。ウッカリ小屋の中にいて1本逃そうもんなら喧嘩必至なので、外のベンチで待つのを推奨

這々の体で着いたバス停。無口な2人。

楽しい旅の最後がこれではマズいと、ブライトン駅に着く前に例の桟橋前で降りて、海岸まで散歩してみました。ところがもう、店は閉まってるし寒いしで、これでブライトン泊なら仲直りもできようが、すっかり止まった観覧車など眺めつつサッサと駅へ。
何せコチトラ仕事を抜け出しての1日旅行。デート気分もソコソコにロンドンに戻りましたとさ。

せっかくのブライトン デートも、こんなヌルい写真しか撮れないくらい疲弊

…しかし、15㎞以上は歩いたんじゃないか?体感で。
いわゆるトレッキングなのでウインドブレーカー的な装備を推奨されるのですが、歩きが長いのでとにかく汗ダクになって脱いだり着たりになり(しかも下はTシャツ1枚だった)、海風やら何やらで間違いなく風邪ひきます!現に俺は翌日思い切り風邪ひきました。
ロンドンでロケ隊と合流して、次の目的地に着く頃にはもう発熱し始めるわ、飛行機で嫌な顔されるわで、散々な仕事だったもん。

あと、崖の危険な写真をアップしていて気づきましたが(遅い)、まず何が異様かって、柵が無いこと!

後で冷静に見れば思わず背筋が凍る崖の写真。柵も完全に落ちている

聞けばこの崖、平気で年間数10センチも削れているらしいし、今思うと絶対にやっちゃいけない行為ですね。崖のキワまで行って覗くとか。“世界の果て”とは言え命果たしちゃいけないので、前途ある諸兄は真似しないでください。

色々あったけど、やはり極め付けの神秘体験には違いない。行ってよかった

なんかヤケに愚痴っぽい見聞録になって恐縮ですが、それでも絶対オススメなSeven Sisters!
崩れ続けて形を変え続けているだけに、ホントの意味で“一生に1度しか見られない景色”です。見に行ってみて下さい。

俺の見た景色とあなたの見る景色は絶対に違うってのがまたロマン。そんな貴重な名所、あとはサグラダファミリアくらい?

◉野磁馬