名作「殺人の追憶」の印象深いロケ地を探すショート・トリップに出発した市外バスは、ハイウェイを快調に走り、小1時間で長城郡に入った。
事前にGoogleマップで位置確認していたので、車窓から早くも発見!「高麗セメント=고려시멘트 長城工場」の勇姿が!
新班長登場シーンの画を思い出し、キャメラ方向の見当も大体つけていたので、最初に歩き出す方角だけ間違わないように脳内シミュレーション。

「長城バスターミナル」。ここで降りそびれたらエラい事になるので注意
こんな“細かくて伝わりにくい聖地巡り”などではなく、ちゃんとした長城観光の名所「白羊寺 =백양사(ぺギャンサ)」に行かれた方のブログにあった記述と、「長城バスターミナル」の位置が随分違っていて慌てたよ。国鉄の「長城駅」よりだいぶ手前にあるのね。
あんまり見ない黄色い駅舎や黄色いバスがカワイイ。
サッと降りたら、すかさず駅を背にして右奥にある路地へ(方向感覚忘れる前に)。お昼時だったので何か呼び込みの声をかけられ続けたが、日本人得意の「半笑いで誤魔化す」を駆使して商店街を右折。すると、おお、通りの先にドーンと「高麗セメント」が見えた!
まだ早いけど…
「ホントにあった!」

見てみこの風景!興奮しているのは俺だけのようだが…
映画では、「新しいタイプの殺人鬼に翻弄され、行き詰まる田舎警察の前近代的な捜査」や、「軍事政権だった時代の、先が見えない閉塞感」の象徴として描かれていた(よね?)あの、行く手に立ちはだかるような巨大セメント工場。そのままじゃん。ド迫力。
…単に工場萌えにもオススメ。
ただ、この角度じゃないよな〜、と。とりあえず踏切を探して歩き続けることに。
電柱から工場のタンク。歩道やそこかしこに黄色が使われている(理由不明)。

ポイントポイントに黄色がいい感じに入って絵になる、フォトジェニックな長城の町(異論上等)
「왜~~~黄色!」と気にはなるけれど、まだ目的を果たしていないので、ソッチは後で調べようと一旦スルーで。
セメント工場を左に見つつ鉄道沿いに出たのだけれど踏切が見当たらない…随分先に1つ見える踏切は角度も違うし。

線路沿いの道からの工場。なんか映画と違う…でも十分“工場萌え”
もしや…と思って戻り、青いアーケードのついた比較的新し目なアンダーパスをくぐって線路の反対側に出てた。流石に映画公開から20年、簡単には行かないようだな。踏切が無くなっているならば、セメント工場の向きから判断すると…
「あ、ここだ」とピンと来る風景が!

このアンダーパスで惑わされた。踏切は無くなっている。が、既にこの屋根も雨漏りしている…20年…
なるほど、思ったよりも望遠で撮っていたわけじゃないんだ。ものすごく遠くから長ダマで狙っていたような印象があったんだけど、単に工場がデカいだけだったらしい。

踏切はアンダーパスに、さらに防音壁も。この沿道の店はセットなのか、看板だけが美術なのか…
うん。ほぼ間違いなく、ココ!

ついにやってきましたこの場所。感激で言葉もない…多分俺だけだと思うけど
「ホントにあった!」
渡韓前に家人と劇場で観た際、「あの飲み屋の看板とかは“美術さん”だよね」と話していたので、ああいう店があるとは思っていなかったけど、似たようなのならまだあるんだ(笑)。
ああ、この達成感。

画面外、左手の家のバカ犬にギャンギャン吠えられながら、様々角度を変えて工場の写真を撮っている日本人って相当不審だったと思うが…
旅、特にひとり旅はあんまり壮大な目的(世界の貧しい子供たちを救うとか)を持たずに、ぶらりと行ってソコソコの達成感を得られる「マイ聖地」探しくらいが丁度イイという持論を確認できたことも含め、とても充実した長城巡りだったわい。

ほら、農道。オープニングのあのだだっ広さはもう少し郊外だと思うが、それらしい雰囲気のところは今でもある。
下を覗き込めば死体が(よしなさい)…
実はあのオープニング(エンディングも)の美しい稲田や農業用水路、ドロップキックの川縁などなど、み~んなこの辺りで撮影したというから、午後の「ムグンファ」出発時間までにどれだけ聖地を発見できるか、老体に鞭打って歩き回っちゃったんだけど…

どうもこの黄色、村おこしでインスタ映え狙いの「ひまわり畑」を推しているらしい。
映画の“稲穂”とは関係なかったようだ
結果、時間内に水田は特定できなかったし、川も随分変わっちゃってセメント工場ほどの感慨は無かったので自分の心の中だけに閉まっておこう。同時に「YELLOW CITY」の秘密もそこまでニーズ無いだろうと判断し、心に。
帰りは「長城駅」からムグンファに乗り光州松汀駅へターン(これも初体験)。

KORAIL「長城駅」。…ちゃんと黄色い。
余談だが、画面外左手にはしっかりとあの有名な“キム夫妻”原型の慰安婦像(椅子Ver.)が鎮座していました
これでようやくミッションひとつ達成。
実は今回の「全羅南道ひとりさまよい旅(名前変わってる)」には、もうひとつの気が重〜いミッションがあったのですが、それはまた今度!
◉野磁馬
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