北朝鮮をただ見に行く(제4회 )〜最重要歴史現場(現役)JSA板門店へ〜

厳密に「北朝鮮を見た」と言えるかどうかは微妙な立ち位置のJSA板門店
韓国ローカル旅

あんまりニーズなくとも続ける“北朝鮮をただ見に行く旅”、4回目にして本丸、「JSA :Joint Security Area 板門店 =판문점(パンムンジョム)」です(普通コレが最初だろ)。

ココへはもちろんいつでも勝手に行けるわけでなく、ツアーで行くしかありません。「土日月で弾丸韓国旅行」派の人は行けません。ツアーは火曜から。家人と俺がチョイスしたのは「KTB =大韓旅行社」のツアー。

“TSUNAMI”で有名な市庁舎のすぐ前、「プレジデントホテル」から出発。

家人が指差しているツアーバスの写真では、思い切り北側を観光客が歩いているが、コレはいつの写真なのか…

前回我々は「DMZツアー」に行っていたので、板門店さえあればいいやと、シンプルな「板門店観光」コースを選びました。「観光コース」とか言ってるけどココ、当然有事の際にはすぐ閉鎖になる全然現役のゲンバなので、行く時期・日には注意(2017年にはモロにココで脱北騒動があったし、2019年には歴史的な南北&米朝会談も)。

最初はワクワクで浮き足立って、もう何なら「赤い帽子でも風で飛ばそうか」くらいのダメガイジン観光客化したんだけど、「統一大橋」を渡ってついに「キャンプ・ボニファス =Camp Bonifas」に着く頃には、他所との雰囲気の違いにすっかり気圧され、おとなしい日本人に。

JSAビジターセンター。ココでブリーフィングを受けて誓約書にサインする。
時間があればおみやげも買える

バス内も、前回のDMZツアーと全く違う緊張感に包まれていたネ。この周辺はとにかく道脇に地雷、地雷と書いてあって、嫌が上にも非日常的感覚が強まる仕組み。

そして、JSAビジターセンターでのビデオを使ったブリーフィングに続き、あの有名な誓約書「死んでも自己責任ネ」にサインしたら、いよいよ別バスで板門店へGO。

やって来ました板門店。ぼんやり集団について行ってガイドさんの話を聞き流していると、いきなりニュースでおなじみのあの光景が!観光客の動線は映画と違うので帽子は飛ばせないからネ

全然写真撮影禁止なので、大抵の人のレポートでもいきなり出てくるんだけど、昨年の南北会談でも話題になった韓国側のモダン建築「自由の家」の外へ出れば、もうあの有名すぎる景色が。

「ホントにあった!」

国連カラーの小屋に雑なコンクリートの分断線。

トランプ大統領と金正恩委員長が行ったり来たりした例の敷石(なぜか前ピン)

「JSA」でビョン様が演じていたカレシ同様、目の動きを隠すための濃いサングラスをした警備兵。その目線の先には「自由の家」よりも大分レトロ(でカッコいい)北朝鮮の「板門閣 =판문각(パンムンガッ)」。観光客の来る時は階段上まで下がるという北の軍人の姿も!帽子飛ばしても拾う人いないじゃん!

映画で有名になった韓国側の歩哨。壁から半分だけ顔を見せているのも報道通りで感激

色々とガイドさんが、「こっちは撮るな、入る時はこうしろ」的なことを言ってくれていたようだけど、しばしボーッとして無言になっちゃったよ。

本物と「南楊州 =남양주(ナミャンジュ)」にある撮影所の「JSA」オープンセットとの大きな違いは「板門閣」の屋根。アングルで切ろうと思っていたのか(予算の関係か)、セットには3階部分が無いのね。そんなマニアックな所も確認できたりして。

「自由の家」より断然渋い「板門閣」の入口に立つ北側の若い歩哨。
この人は軽武装っぽいが、スモークガラス窓の向こうでは銃口がチャンとこっちを向いているらしい

そして向かって左側の小屋へ列になって IN。これがいわゆる「軍事停戦委員会本会議場」。

センターのテーブルのマイクケーブルが「分断線」という事。もっとちゃんとしたもので分けてもいいのに…

このテーブル上のお土産みたいな国連旗が南北分断線。見張っているのは韓国兵

そこをあっさえり超えて“北側”に!

そんなに騒ぐ事なのかどうかは個人差ですが、俺は騒ぐね(心の中でだけれど)。

ツアー客の皆さん。なぜかみんなすぐに北側に行きたがるのが面白い

そして会談の際には北の人たちが入ってくるドアや、窓の外の分断線(これまたいい加減な敷石)、そこの雪に残った北側の歩哨の足跡などにいちいち興奮して(心で)小屋を出たのでした。

本会議場の窓から外。さっきまで立っていたと覚しい北側歩哨の足跡が。
観光客が来る時は板門閣まで下がると聞いた

その後はこれまた「JSA」ファンにはたまらない「帰らざる橋」へ。

Bridge of No Return!

ありました、「帰らざる橋」!ビョン様の様に、本当にコッチから何か投げたら届きそうな近さ

ココら辺は本当に現在進行形の現場なので、バスから降りることすら叶わないんだけど、自由に降ろしたら俺みたいにビョン様の真似しようとするようなバカが続出して収拾がつかなくなると思われるので賢明です。

すぐ近くにある「ポプラの木事件」のポプラも説明してもらったけど、車窓からなので今一つ特定出来ず(確か切り株はビジターセンターにあった気が…)。

ビョン様が(シツコい)寝っ転がって救出されていた(それは映画だ)センターの分断線は雪に埋もれていた

そうそう、このエリアを走っている時、前回「都羅展望台」から肉眼で見そびれた「機井洞 =기정동(キジョンドン)」の超巨大国旗掲揚塔がチラチラ見えるので窓外ガン見でヨロシク。

なんとなく車中の空気が厳かになったバスはその後、前回DMZツアーでも寄った「臨津閣」へ。

前回見落とした謎の巨大オブジェ。いわれを調べたかったがやたら遠くて断念。
このツアー、「臨津閣」での時間は短い。長々昼飯を食ってると何も見れないので注意

こないだ渡りそびれた「自由の橋」の突き当たりまで行ってきた。

再び訪れた「自由の橋」。冬枯れていて風情がある…が、韓国の冬は寒すぎ!

統一を願う人々や、そろそろ高齢化でヤバい離散家族の想いが込められたメッセージリボンや短冊を眺めたんだけど、無事板門店から生還して来た今回の方がなぜかちゃんと心に染みた気がしたな〜。

橋のどんつきにあるフェンスは、祈りと願いで埋もれている。別にココを超えても向こうが北朝鮮なわけでは無いので注意

このシリーズ「ただ北朝鮮を見る旅」の括りでは、やっぱ板門店だけ別格かな。

別に朝鮮半島出身でも無いのになんか色々な想いが短い時間のうちに怒涛のように押し寄せて、凄く濃いツアー体験でした。無責任にオススメ。1万円以内。

◉野磁馬