FAUDA 〜パレスチナ版アウトレイジ〜

ベツレヘム。キリスト生誕教会とモスクの間にある通り。現地のムスリムの若者曰く「射殺事件現場」だというが…
1枚の写真 〜ONE SHOT〜

イスラエルのドラマ「ファウダ〜報復の連鎖〜」は視てる?

たけしの「アウトレイジ」はカリカチュアライズされた893の世界で“全員悪人”だから、誰がどう死のうとソレを楽しく観られるのだが、コッチはリアルで現在進行形の、国家間(片方は暫定的だとしても)の話だから心底笑って観られないよね。サブタイに「報復の連鎖」ってそのまま書いてあるとおり、永久に解決しないことがわかっている設定の中で何を楽しむか…

リアルニュースを見る前の予習的なお得情報は満載。テレビ報道なんかでは全くスルーだが、時々「え?なんで今ココ?」って場所を完全にダマでイスラエルが爆撃したりすることあるじゃん。ガザ地区に世界の話題が集中している時にシレッとウエストバンクの知らないキャンプを攻撃したり、突然シリアのどっかを空爆しました、みたいな。このドラマを観て「ああ、こういう意味か」と納得したりして。現実と地続きの設定をそのままエンタメにしちゃう(できちゃう)のはココ界隈と、朝鮮半島の特権か。

ウエストバンク(ヨルダン川西岸地区)南部に「ベツレヘム」という街がある。

「ホントにあった!」

キリスト生誕の地であるという触れ込みの教会が建っていて主要な観光地になっている。その生誕教会や裏手にあるミルクの教会などはもちろんだが、ウリはなんといってもキリスト教会とモスクが向かい合って建つこの広場だろう(あとは分離壁や点在するバンクシー…どんな観光地だ)。

これユダヤ教の施設でなくキリスト教会なので成立しているのだが、そこそこ物騒ではあるらしい。モスク前に屯していた若者が日本のテレビ制作陣を見つけ(興奮気味に)語ってくれたところによると、イスラエル側の理不尽な取り締まりやドンパチもそれなりにあり、彼の弟はこの通りで射殺されたという…「何もしていないのに!」との主張。通り脇の交通標識に残った弾痕を指差し、しきりに「ココ!ココで撃たれて!」と言っていたが、真相やいかに。

もしかして現在はこの辺も全然アブナくなってるんだろうか、やっぱ。

に、しても「ファウダ」主人公のイスラエル潜入捜査官チーム、4シーズン通してただの1回も作戦が成功していないのは現地流のギャグなのか。ドタバタの中で累々と積み重なっていく死体また死体…リアルで敵側を油断させるためにこうしてんのか、と勘ぐりたくなるほどのマヌケさ。若干パレスチナ側を崇高に描いているようなきらいもありw、現地では双方が楽しく鑑賞しているということなので何が何だか。謎の分断国家イスラエル…「愛の不時着」よりは全然リアルでイヤらしくないからオススメかと。

ただ劇中、ガザだけはやはりこう描かれるんだというのがゾッ…いきなりホラーだもん、演出。やっぱ別次元なのか…

◉野磁馬