オスタルギー 〜ドイツ版『3丁目の夕日』?〜

「救う会」だか「守る会」によって生きながらえたアンペルマン。ダサカワ全開
1枚の写真 〜ONE SHOT〜

今回の「1枚の写真」はベルリン・ブランデンブルク門前のアンペルマン信号。「オスト(Ost)=東」と「ノスタルギー(Nostalgie)=郷愁」で「オスタルギー」。

日本なら「『三丁目の夕日』の頃の東京は良かった」とか「カセットテープカワイイ」みたいな、あんまり同意できないアレか。高度経済成長後期に生まれた俺は割とその流れに懐疑的だが(復古しなくて良いものが多すぎるから!)、DDRのソレはなぜかビンビン来ちゃうんだよなー。「ダサカワ」としか言いようがないデザイン。

「ホントにあった!」

このアンペルマンなんかはその象徴で、確かに西ドイツからは出てこなさそうな「非合理・未整理」な野暮デザイン。なんでもスマートなら良いってもんじゃないゾ、と主張しているかのような等身バランスw。
東西冷戦に勝った(っけ?)のをいいことに、資本主義側は敵の文化を思い出ごとなんでもかんでも壊して塗り替えようとするから、あえて(大して良くもない)昔のものに固執したくなるオッシーの気持ちはわかる。世界中の年寄りが自然と抱く単なる懐古主義というより、慎ましい抵抗運動か。すぐ「守る会」作るし。別に共産主義の暗黒時代に戻りたいわけじゃくて。…とか、「古き良きもの」と「古くて悪きもの」の選別とかしながらボンヤリ歩いていると顔面凍るからね、冬のベルリン。

多分、西ドイツには西ドイツの「ノスタルギー」があるだろうし、モチロンそっちも興味ある(カエルのポルシェとか)。ただ基本、音楽やデザイン周辺に留めておいて欲しいかな。この後“オスタルギー・レストラン”行ってメインの駄菓子みたいなハムカツとか食ったけど、正直食い物は復古しなくていい。我々もまたチクロンβとか飲まされちゃたまらん。

◉野磁馬